2012年6月13日水曜日

歴史学研究会近代史部会 2012年度修士論文報告会のお知らせ


歴史学研究会近代史部会では、今年も修士論文報告会を開催します。
どなたでもお気軽にご参加いただけます。

日時:2012年7月28日(土)13:00~
会場:早稲田大学早稲田キャンパス 14号館804教室[地図]

報告:
堀内孝氏
「明治期農学校における獣医育成―「富国強兵」と青森県立畜産学校」

井上直子氏
「1930年代における女性の政治主体形成のあり方―選挙粛正運動、公民科にみる「女性」と公民」

李杏理氏
「「解放」直後在日朝鮮人による獨酒闘争の史的考察―生活とジェンダーの諸相」

参加費:資料代のみ実費をいただきます。
主催:歴史学研究会近代史部会

2012年6月6日水曜日

2012年度大会の様子

2012年度歴史学研究会大会は5月27日(日)に行われました。
近代史部会の様子を紹介します。


趣旨説明を行う藤田怜史運営委員


報告① 畑野勇氏


コメント① 日野川静枝氏


報告② 隠岐さや香氏


コメント② 崎山直樹氏


全体討論の様子①


全体討論の様子②


会場の様子①


会場の様子②


司会は運営委員の武田祥英と酒井晃が担当しました。

活発に議論が交わされ、大変な盛会となりました。


たくさんのご来場、ありがとうございました。


3・11後の歴史的地平―科学・技術、国家、社会-

 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれにともなう大津波,そして東京電力福島第一原子力発電所の事故は,科学・技術に関して相反するかのように見える二つの反応を惹起するものであったといえよう。すなわち,一方では科学・技術の「進歩」に対する不安や懸念,他方ではそのさらなる「進歩」の希求である。
 科学・技術への不安は,とりわけ福島第一原子力発電所の事故に起因するものであった。その事故は原子力に対する茫漠とした恐怖を明確に現実化し,その結 果原子力発電への批判的な声が高まり,それを可能とした科学・技術の「進歩」への不安が生じたのである。さらに,原子力の専門家として原子力行政に関わってきた科学者・技術者の信用失墜は著しく,対照的に原子力発電に批判的な科学者が脚光を浴びるという光景が見られた。原子力発電に対する,科学者個人の態度そのものが問題とされたのである。
 しかし原発事故が改めて浮き彫りにしたのは,科学者や技術者個人の問題よりも,大学を含む諸種の研究機関,企業,国家,社会の関係の内に横たわる構造的な問題であった。すなわち,原子力発電の開発という国策遂行のなかで,国家,大学,企業などが一体となってそれを推進し,内外からの批判がなされにくい状況がつくられていたのである。原発事故が惹起した科学・技術への不安,原子力行政に関わってきた科学者や技術者への不信も,こうした構造が抱える問題に起因している。
 他方,震災と津波,原発事故は,科学・技術のさらなる「進歩」を希求する声も生んだ。すなわち,地震予知,津波の早期警戒網の確立,10メートル超の津 波を防ぐ大規模な堤防整備などの防災・減災の分野や,原子力発電所の安全向上,あるいは脱原発を進めた場合の代替エネルギー開発などにおいて,さらなる科 学・技術の革新が求められている。この面においては,科学・技術を取り巻く政治的・社会的構造が問題視されているようには思われない。むしろ,科学・技術の「進歩」を効率的に推進するための,新たな研究体制の構築や重点的資金配分が期待されているのである。
 このように,2011年3月11日の大震災と原子力発電所の事故によって,科学・技術を取り巻く構造が問題化されながらも,その根本的再考にはいたって いない。むしろこの二つの測面は科学・技術と国家や社会との関係の根深さを明らかにしており,その解明は歴史学の課題である。そこで2012年度歴史学研 究会・近代史部会大会では,「3・11後の歴史的地平──科学・技術,国家,社会──」というテーマを掲げ,科学・技術,科学者・技術者,研究機関や研究 者集団が,国家や社会と築いてきた関係を歴史的に検証したい。科学・技術をめぐる構造を地域横断的に検討することで,現在に生きるわれわれが,いかに科 学・技術との関係を築いていくべきかについて有益な示唆が得られるだろう。
 科学史・技術史の文脈では,1980年代以降,科学・技術を国家や社会との関係性という観点から捉えなおす研究潮流があった。そのなかで,第一次世界大 戦を契機として,科学・技術を扱う専門家集団が国家との関係を緊密化していったことが指摘されるが,そうした関係を体現するもっとも顕著な例が,第二次世界大戦後のアメリカ合衆国で急速に発達したといわれる軍産複合体であろう。近年,この軍産複合体のなかに組みこまれた研究機関としての大学の役割を強調し,それを「軍産学複合体」と呼称する向きがあるが,第一報告者の畑野勇氏は,近代日本のなかに「軍産学複合体」を見出す。畑野氏の報告「戦時体制期日本 の「軍産学複合体」──科学・技術の専門家集団の膨張とその問題性──」は,軍事関連技術の専門家集団であった陸海軍が重工業界や大学との間に形成した 「軍産学複合体」の活動を取り上げ,科学・技術をめぐる意思決定主体が専門家集団に限定されがちであることの弊害について考察する。この複合体が戦時体制 期に,人的資源の配分決定権をはじめとして,物的・財政的諸資源の配分や工業生産力の調整にも多大な影響を及ぼすと同時に,研究開発をめぐる共同体内部で の平等互恵性と,外部からのチェック抑制を排除する閉鎖性という二面性をも有し,結果として国民に多大な惨禍をもたらしたことを畑野報告は明らかにする。
上記のごとく,科学・技術と国家や社会との関係が,近現代の枠組みにおいて考察される傾向があるのに対し,科学的な知の営みや認識論的枠組みの違いを意識しながら,近代以前における同様の問題に取り組んできたのが,第二報告の隠岐さや香氏である。隠岐氏の報告「パリ王立科学アカデミーにみる近代科学と国 家」は,近代西洋社会における国家による最初の本格的な科学研究機関の一つとされるパリ王立科学アカデミーに焦点を当てる。当時のフランスでは大学は科学研究の中心にはなく,アカデミーと呼ばれた組織がそれを担っていた。同アカデミーはフランス革命期に廃止されるものの,その関係者が今日にもつながる科学 の諸制度を構築していったのである。隠岐報告は,この科学アカデミーが出現した経緯,および時代ごとの国家や社会との関わりを検証し,それにより近代国家 の形成と自然科学の制度化がどのように関わりあっていたのかを考察するものである。
 さらに,第二次世界大戦前のアメリカの原子力研究を専門とする日野川静枝氏,近代アイルランドにおける高等教育を専門とする崎山直樹氏にコメントをお願いする。時代・地域の異なる報告とコメントを通じ,それぞれの時代・地域における科学・技術の特殊性が導き出されるとともに,比較史的観点から有益な議論が引き出され,歴史全体における科学・技術の重要性について深い考察がなされることを期待する。(藤田怜史)

[参考文献]
畑野勇『近代日本の軍産学複合体──海軍・重工業界・大学──』創文社,2005年。
隠岐さや香『科学アカデミーと「有用な科学」──フォントネルの夢からコンドルセのユートピアへ──』名古屋大学出版会,2011年。

2012年3月31日土曜日

2011年度3月例会の様子

* 2012年3月25日に行われた3月例会の様子です *

佐藤氏の報告

森下氏の報告

討論の様子

*たくさんのご来場、ありがとうございました*

2012年3月4日日曜日

歴史学研究会近代史部会 3月例会のおしらせ


歴史学研究会近代史部会3月例会を下記の通り開催いたします。
どなたでもご参加できます。どうぞお気軽にご参加ください。


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歴研近代史部会3月例会
【テーマ】20世紀前半の都市空間をめぐる諸相


【報告】
 佐藤美弥氏「東京における建築技術者の文化活動について――その転回と潜行」
 森下嘉之氏「住宅をめぐるチェコ現代史-自由主義でもなく、社会主義でもなく-」

【日時】2012年25日(日) 13:00~

【会場】早稲田大学早稲田キャンパス 26号館 301会議室(大隈講堂横のタワー三階)
    地下鉄(東京メトロ東西線)「早稲田駅」より徒歩約5分。
     *大学周辺・学内の地図は下記をご参照ください。
       http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html

【参加費】資料代のみ実費をいただきます。

【主催】歴史学研究会近代史部会


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2011年6月24日金曜日

2011年度大会の批判会を開催します。

歴史学研究会近代史部会では、


5月に行われました大会の批判会を、下記のとおり開催します。


ふるってご参加ください。




  記


2011年度歴史学研究会近代史部会大会報告批判会
日時:2011年7月10日(日) 13:00~
会場:早稲田大学早稲田キャンパス11号館804教室http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html
報告批判者:中嶋久人氏 ・ 岡田泰平

2011年度大会の様子





5月22日に行われた歴史学研究会近代史部会大会の様子です。



                    趣旨説明をする武田祥英運営委員



                    報告をする愼蒼宇氏


                    報告をする浅田進史氏




                    コメントをする檜皮瑞樹氏





                    コメントをする宋蓮玉氏





                    全体討論の様子①


                    全体討論の様子②



                    会場の様子①

                    会場の様子②


                司会は、運営委員の上地聡子と繁田真爾が担当しました。







活発に議論が交わされ、大変な盛会となりました。


たくさんのご来場、ありがとうございました。







2011年5月21日土曜日

2011年度歴研近代史部会大会

2011年度 歴研近代史部会 大会

植民地認識を問い直す──継続する「戦争」、終わらない「分断」

日時:2011年522日(日)、10:00~

会場:青山学院大学青山キャンパス[会場案内図]

報告者:
愼蒼宇さん
「朝鮮半島の「内戦」と日本の植民地支配──韓国軍事体制の系譜」
浅田進史さん
「植民地における軍事的暴力と社会創造──ドイツ植民地統治の事例から」

コメンテーター:宋連玉さん、檜皮瑞樹さん

司会:繁田真爾さん(近代史部会運営委員)、上地聡子さん(近代史部会運営委員)

主旨文:

 19世紀以降に構築された植民地主義は、今なお機能している。現代における資本と労働の新たなグローバルな編成のもとでは、かつての『先進』/『後進』 の枠組みは融解したかに見える。しかし、植民地支配から連なるむき出しの暴力と社会の分断は、旧植民地社会に偏在し、この枠組みをむしろ再編成し強化している観さえある。これらの意味で、“植民地支配は終わっていない”。この植民地主義の継続に対して、旧宗主国の人々の関心が希薄であるならば、そうした継 続を不可視化する構造を問う営みは喫緊の課題であろう。

 近代史部会はここ数年「近代の支配原理」に注目してきた。今年度はその一環として、継続する「戦争」と終わらない「分断」という観点から植民地支配とそ の認識を再検討する。植民地研究の多様なアプローチのひとつとして、植民地時代から継続して現地の社会を規定してきた政治的な権力関係に対する新たな認識 を喚起した「植民地責任」論が近年とくに注目を集めており、2010年度の大会全体会「いま植民地責任を問う」でも取り上げられた。我々はこの「植民地責任」論の成果のなかでも、とりわけ次の二点──1. 制度的な独立以後も暴力的な支配体制が残存し、その社会を分断したシステムもまた解体されることがなく、 むしろより巧妙な権力関係となって現在まで機能し続けていること、2. いわゆる戦時の問題のみを扱ってきた従来の「戦争責任」論とは異なり、平時を含む恒常的な生活の破壊についても考察の対象としたこと、に注目したい。

 植民地主義は、表向き現地の安定と発展を標榜することで支配の正当性を確保していた。反面、その社会を支えてきた独自のシステムは非合理的なものとして 否定され抑圧されるとともに現地の人々を引き裂き相争わせるシステムがその社会の深くにまで打ち込まれる。たとえば英国のパレスチナ委任統治においては、 欧米「ユダヤ人」を頂点とした支配体制を構築するために、現地アラブ人社会のあり方を「野蛮」と規定して、旧来のイスラム教、キリスト教、ユダヤ教の宗教 共同体間秩序を破壊し、暴力の応酬を恒常化させた。このように植民地主義の支配体制は、現地社会を蹂躙しただけでなく暴力の契機を振りまくことで、なによ りも人々の生活を脅かし続けるものであった。そして、今なお世界各地ではその残滓に苦しめられている人々がいる。この意味で植民地とされた社会は今日まで 常に平和から最も遠い位置にあるといえるだろう。

 一方で宗主国の社会は、「文明化の論理」という神話のもとで、植民地支配体制を是認していた。この論理に従うなら、本大会のキーワードである「戦争」と 「分断」は、宗主国側からすればたとえば「秩序維持」と「社会の再編成」と読み替えられる。植民地社会を暴力的に組み換え、宗主国に都合のよいシステムに 変容させられる過程は、この読み替えのレンズを通すことで悲惨な現地の実態や血生臭さが取り除かれ、好ましい価値観を付与され、宗主国社会の人々の歓心を 得る幻想へと置換された。「共存共栄」というようなグロテスクな幻想は、こうした正当化の読み替えを植民地への認識上の暴力に変換させる重要な仕掛けであ る。この幻想の下では植民地の抵抗活動は目指すべき理想への障害として扱われ、抑圧や現地支配協力者への権力の強化を促すことになってしまった。加えて、 このような幻想が機能していることは、宗主国の社会、また国際社会からもその支配体制が是認され、宗主国同士の協力体制が構築されるうえで不可欠であっ た。

 植民地支配とは、このように植民地および宗主国、さらには国際関係にいたる多層な構造によって成立していた。これが継続して機能していることに関しては 多くの研究が指摘してきたことであるが、近年旧宗主国からの研究には植民地問題を正当化、合理化しようとするものが出てきている。植民地にまつわる幻想も また、いまだ機能しているようだ。植民地支配を通じて社会に内在化した「戦争」と「分断」のあり様に着目することで、このような幻想を批判し、近代以降に 構築されたこの暴力的な構造が、まさに我々の現在の社会の基礎にあることを明らかにして、植民地認識への新たな地平を拓くことを目指したい。

 以上の問題関心から、今回は以下の二人に報告を依頼した。

 愼蒼宇氏「朝鮮半島の「内戦」と日本の植民地支配──韓国軍事体制の系譜──」では、現代韓国における軍人優位の体系と民衆運動抑圧の体制が、日本と朝 鮮独立運動との50年にわたる「戦争」経験のなかでどのように形成されてきたのかを、1. 「親日派」軍人の形成過程、2. 植民地戦争下の社会組織化(自衛団/ 密偵組織など)、3. 朝鮮民衆の生活への影響と対立の様相、という三点に着目しながら検証する。そして、現代の朝鮮半島の「戦争」と「分断」に植民地主義が どのように再編されつつも継続しているのかを問い直す。

 浅田進史氏「植民地における軍事的暴力と社会創造──ドイツ植民地統治の事例から──」では、19世紀末・20世紀初頭のドイツ植民地統治の事例を通じ て、軍事的な暴力の存在・威圧・顕示・行使が植民地支配下に置かれた社会に与えた衝撃を、破壊のみならず、「創造」の側面に着目して再検討する。とくに、 その暴力を通じた社会創造──まさに「分断」の創造でもある──が、当時の植民地支配を前提としていた世界秩序をいかに支えていたかについて考察する。

 両氏の報告に対し、宋連玉氏と檜皮瑞樹氏からコメントをいただく。あわせて多くの方々の参加と議論をお願いしたい。

文責:武田祥英